めまいの診断・治療について

2017/09/04

めまいと耳鼻咽喉科

 耳鼻咽喉科をめまいで受診される方の、原因病巣の約6割が内耳であるといわれます。ただ、「内耳」と一口に言っても、最も多いのは三半規管が原因の良性発作性頭位めまいであり、その他、聞こえも悪くなって繰り返しめまいが起きるメニエル病、風邪症状の後に起こる前庭神経炎、外リンパ瘻、突発性難聴に伴うめまいなど、原因は様々です。
 また、内耳以外の原因としては、頻度は少ないですが、脳血管障害など緊急性もある中枢性疾患や聴神経腫瘍などの脳腫瘍がある一方、検査上で異常が検出されないいわゆる「めまい症」も約1/4程度存在します。
 

当院での診断・治療

 当院では、めまいの原因鑑別の手がかりとして、めまい症状の詳しい問診のほか、平衡機能検査として眼振検査や重心動揺検査、聴力検査を必要に応じて行っております。
 それらの検査結果に応じて、投薬、めまいリハビリの指導等の治療方針を立てております。

眼振検査とは?

 赤外線CCDカメラの付いたフレンツェル眼鏡をつけて前が見えない状態(視覚入力を遮った状態)で、頭の位置を変えたり素早く動かしたりした時に生じる目の動きを観察します。
 特に、良性発作性頭位めまいの急性期ではめまいが誘発されることもありますが、逆にあまり症状が治まってしまってからの受診では眼振が出ず、得られる情報量が少なくなってしまうこともあります。
 吐き気がひどいうちは安静が必要ですが、ある程度吐き気が治まり動けるようになったら、めまい症状があるうちに受診されることをお勧めします。

重心動揺検査とは?

 重心動揺検査は、プレートの上に直立して乗ったときの体のふらつきを、開眼・閉眼で検出・分析する検査です。また、プレートの上にラバーマットを置いて負荷検査を行うことで、下肢の体性感覚の入力を撹乱して、前庭系のみの入力となった時の状態を分析します。
 まっすぐ立った姿勢の制御には、視覚(眼)、前庭系(内耳)、深部知覚系(下肢・腰・頸部など)からの入力と脊髄での反射、体の筋肉への出力、頭での情報の統合と補正の繰り返しが必要です。
 視覚や深部知覚の入力要素を減らして検査をすることで、めまいの診断や治療効果判定に役立てることができます。